貴社の事業について簡単におしえてください。
江崎グリコ株式会社は、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を会社としての存在意義(パーパス)に、高品質な素材を創意工夫することにより、「おいしさと健康」を価値として提供し続けている、1922年創業の食品メーカーです。
川口様が普段ご対応されている業務内容をお知らせください。
経営企画部は「イノベーション創出のエンジンとなる」ことが、組織人材開発チームはエンゲージメントサーベイを通じた現状分析や改善・向上のためのアクションをプランニングすることが、主なミッションです。私自身は他にもキャリアプラン策定や部門内人事、研修業務の一部を担当しています。
これまで実施したサーベイから、どのような課題が見えていましたか?
当社は以前より様々なサーベイを実施しています。それによると、部門内においては相互の信頼性が高い状態が見られましたが、部門同士や従業員と経営陣との関係性には一定の課題が見られました。
その課題を解決するためには、現場リーダーによる視座の高い行動が1つのキーポイントだと考えており、リーダーシップ研修も各種取り入れています。ですが、研修実施直後は皆高いモチベーションで業務に取り組みますが、半年も経つと研修時に見られた熱量はどうしても下がってしまいます。そのため、研修機会を設ける以外にも、普段の業務に近いところで、継続的にリーダーシップを育めるような環境を作りたいと思うようになっていました。
Interbeingを知ったきっかけをお知らせください。
当社取締役の本澤がダボス会議で松本さんと知り合ったことがはじまりです。本澤は当社のサステナブル担当役員で、50年・100年先といったロングスパンの視座で物事を考えることがミッションです。その本澤の思考の時間軸と、松本さんの長期思考の考え方がフィットしたようで、後日本澤から「面白い僧侶がいるよ」と松本さんを紹介いただきました。
川口様からみたInterbeingの第一印象は?
私は当社に入る前に自衛隊へ所属したことがあり、国防への使命感や死生観について考える機会が多かったこともあって、一般の方よりも仏教的な価値観に親和性が高い自覚があります。ですが、それを差し引いても、僧侶が企業に向けて活動していることに、驚きと面白さを感じました。
産業僧対話のどのようなところに興味を持たれましたか?
僧侶が社内にいて気軽に話せる環境を作ることで、リーダー層が抱える悩みを聞いてもらえるようになることが、彼・彼女らの変化を持続的に促せるのではないか、と考えました。
当社の役員はロバート・K・グリーンリーフが提唱した“サーバントリーダーシップ”の考え方を実践しようと、定期的にセッションを受けており、それによって考えが整理されたり、ポジティブシンキングが定着したりしています。このような状況を役員クラスだけでなく現場のリーダークラスにも作り出せるのでは?松本さんとの対話は同じような影響力があるのでは?という思いもありました。
また、当社の社外取締役を務めている原丈人が提唱する「公益資本主義」は、平易な言葉で表現すると「道徳心は経営にも必要」だと私は考えています。松本さんの仏教的世界観に基づく「長期思考」のお話は、これらの考え方にも通じるものがあり、当社にとって意義のあることだとも思いました。
当社には人材育成に対する投資を積極的に進められる理解があり、講演や研修などには予算がつきやすいことから、産業僧対話は松本さんとお会いしてから1~2ヶ月くらいで話が具体化し、最初は“講演”という形で一度やってみよう、とGoサインが出ました。
川口様ご自身も産業僧対話を受けられましたが、どのような印象でしたか?
対話を通じて、自分がなんとなく考えていることや思いがとてもクリアになりました。また、業務と直接関係のない方から、対話の内容に純粋な共感をいただけることが、自分が「前に進もう」と強いモチベーションになることが新鮮でした。もっと話したかったですね。
コーチングと産業僧対話との違いはどのような点だとお考えでしょうか?
コーチングは改善を目的としているケースが殆どで、改善とはつまりマイナスをゼロやプラスにすることです。つまり、どうしてもネガティブな地点から対話が始まる形です。産業僧対話は、自身の感情がポジティブな状態から始められるため、前向きさが違うと思います。
また、僧侶が相手なので何を話しても大丈夫そう、という心理的安全性は、コーチングよりはるかに高いですね。コーチの場合は相手もビジネスの延長上にいらっしゃるので、心のどこかで身構えてしまっている場合があると思います。僧侶だからなのか、松本さんだからなのかは分かりませんが、産業僧対話はそうした心理的障壁がない状態から話せるので、組織を前向きにするのに効果的なのではないでしょうか。
他の参加者からはどのような反応がありましたか?
産業僧対話の参加者を募ったときに「本社勤務だったら参加したかった」という声は多かったです。これまでになかった反応ですね。実際に参加された人は、通常のリーダー研修を受講済で、次に課長級のポジションを担うような人たちを対象にしていました。参加者からは「気兼ねなく悩みを話せた」「考えを整理できた」と、総じて高評価な反応ばかりでしたね。
Interbeingに期待することがありますか?
マネージャークラスへの福利厚生の一環として、産業僧対話のようなサービスがリーズナブルに受けられるとありがたいです。
当社の課題としては、マネージャーになりたがらない女性スタッフが多い状況があります。まだまだ女性管理職への支援が当社として充実していないということなのかもしれませんが、昇格のタイミングで結果として男性がリーダー・マネージャーになる状態が続いています。リーダーを目指す人や、リーダーと目されるスタッフに向けたサポートを、給料や福利厚生以外で提供できるようなソリューションがInterbeingさんにあると嬉しいです。
また、松本さんのような僧侶の方は、いわば「先人の考えを現代に伝える」プロフェッショナルです。仏陀の教えを現代に伝えているわけですからね。これを企業に置き換えると、経営陣が定めたパーパスやビジョンを現場スタッフに浸透させることも、僧侶の力を借りれば、これまで以上に腹落ちしてもらえるようになるのではないか?と個人的に思っています。Interbeingさんの今のサービスですと「理念共振プログラム」でしょうか?興味があります。
川口さんから事例読んでいる方にひとこと
産業僧対話は、メンバーの視座をぐっと広げてくれるサービスです。僧侶という立場の方から、グッとではなくそっと、背中を押してもらえる。それによって従業員がポジティブになり、ひいては会社の業績向上にもつながります。
小学生のころ、親の言うことは聞かないけれど、先生の言うことは聞いたじゃないですか。産業僧対話は従業員にとっての先生、みたいなものなのかもしれません。
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INTERVIEW
高い心理的安全性がポジティブな対話を促し、組織を活性化する
江崎グリコ株式会社
経営企画部 組織人材開発チーム マネージャー
川口 様
産業僧対話
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川口 様
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音声で聴く経営者インタビュー
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